一般販売されていない組み込み向け製品が、Intelのゲーミング性能の頂点に立つ可能性が浮上しています。Intelの組み込み向けCPU「Core 9 273PQE(Bartlett Lake)」が、複数のゲームタイトルにおいてCore i9-14900Kを最大9%上回るベンチマーク結果が報告されています。Tom's Hardwareが伝えたこの情報は、ドイツのYouTuberによる約4時間のライブストリームテストに基づくもので、Bartlett LakeがIntelのゲーミング性能において非公式ながら最速クラスに位置する可能性を示唆しています。
12個のP-coreのみで構成——Bartlett Lakeとは何者か
Bartlett Lakeは、Intelがこれまでリリースしてきたハイブリッド(P-core+E-core)設計とは一線を画す、P-coreのみで構成されたCPUラインナップです。Core 9 273PQEはそのフラッグシップモデルで、12個のP-core・24スレッド・最大ブーストクロック5.9GHz・L2キャッシュ36MB・L3キャッシュ36MBというスペックを持ちます。12個のP-coreという構成は、IntelがこれまでリリースしたハイブリッドCPUの中でP-coreを最も多く搭載した製品を4コア上回るものです。
アーキテクチャはIntelの13・14世代(Raptor Lake)と同じRaptor Coveマイクロアーキテクチャをベースにしています。Arrow Lake世代(Core Ultra 200Sシリーズ)はタイル構造の採用によってRaptor Lake比でゲーミング性能が向上しなかったという経緯があり、続くCore Ultra 200 Plusシリーズ(内部ファブリックのオーバークロックで改善)でも、Core Ultra 7 270K PlusはTom's Hardwareのゲーミングベンチマーク階層において14900Kをわずかに下回っています。
ただし、このチップはあくまでミッションクリティカルな組み込み用途向けの製品です。デスクトップ向けLGA 1700ソケットのマザーボードとは公式には非対応であり、一般ユーザーが通常の方法で購入・使用できる製品ではありません。なお、BIOSモッドによってコンシューマー向けLGA 1700マザーボードで動作させた事例も報告されていますが、これはあくまで非公式の改造によるものです。
Shadow of the Tomb Raiderで最大9%差——ゲーム別の明暗
PCGamesHardwareが発見したドイツのYouTuberによるテストでは、複数のゲームタイトルを主に720p、Outcast 1.1のみ4Kで計測しています。結果は以下の通りです。
| ゲームタイトル | Core 9 273PQE | Core i9-14900K | 差 |
|---|---|---|---|
| Horizon Zero Dawn | 310 FPS | 294 FPS | +5.4% |
| Monster Hunter Wilds | 126 FPS | 118 FPS | +6.7% |
| Rainbow Six Siege | 454 FPS | 456 FPS | −0.4% |
| Outcast 1.1(4K) | 60 FPS | 55 FPS | +9.1% |
| Shadow of the Tomb Raider | 273 FPS | 250 FPS | +9.2% |
| Counter-Strike 2 | 325 FPS | 330 FPS | −1.5% |
Shadow of the Tomb RaiderとOutcast 1.1では最大約9%の優位を示した一方、Rainbow Six SiegeとCounter-Strike 2ではほぼ同等という結果でした。ゲームタイトルによって差が出ており、すべての場面で14900Kを上回るわけではありません。
Tom's Hardwareは、Intelにはさらに上位の「Core i9-14900KS」が存在するものの、同メディアのレビューによれば14900KSは14900Kより10%速いわけではないと指摘しています。そのため、今回のベンチマーク結果は273PQEがIntelのゲーミングCPUとして事実上の最速クラスに位置する可能性を示すものだと同メディアは述べています。ただし、Tom's Hardware自身はCore 9 273PQEを実際にテストしておらず、この評価はYouTuberのベンチマークに基づく推測であることに注意が必要です。また、今回の計測は720p(Outcast 1.1のみ4K)で行われており、他の解像度・設定での結果は公開されていません。
AMDのX3D勢には届かず——Intel内での位置づけ
最大9%という優位性は、Intelの従来製品との比較では注目に値しますが、AMDのX3Dシリーズを脅かすには至らないとTom's Hardwareは報じています。ゲーミング性能でAMDのX3Dチップを超えるには、さらなる性能向上が必要な状況です。
Bartlett Lakeは一般ユーザーが購入できる製品ではないため、「今すぐ買える選択肢」としては評価できません。BIOSモッドによる非公式動作の事例が出ているものの、公式サポートのない改造であり、テスト条件も限られた解像度・タイトルに留まっている点は留意が必要です。Tom's Hardware自身による実機検証が行われるまで、Bartlett LakeがIntel最速のゲーミングCPUかどうかは確認されていないとする立場を同メディアは維持しています。
Q&A
Q. Core 9 273PQEは一般向けに購入できますか? このチップはミッションクリティカルな組み込み用途向けの製品であり、デスクトップ向けLGA 1700マザーボードとは公式には非対応です。BIOSモッドによって一部のコンシューマー向けLGA 1700マザーボードで動作した事例はありますが、あくまで非公式の改造によるものです。
Q. Arrow LakeやCore Ultra 200シリーズとの違いは? Arrow Lake世代のCore Ultra 200Sシリーズはタイル構造の採用によってRaptor Lake比でゲーミング性能が向上しませんでした。後継のCore Ultra 200 Plusシリーズは内部ファブリックのオーバークロックで部分的に改善されたものの、Core Ultra 7 270K PlusはTom's Hardwareのベンチマーク階層で14900Kをわずかに下回っています。Bartlett LakeはこれらとはRaptor Coveベースのアーキテクチャとスペックを異にしており、今回のYouTuberのテストでは14900Kを最大9%上回る結果が示されています。ただしTom's Hardware自身による検証は行われておらず、結果はテストが行われた解像度・タイトルに限定されます。