AIエッジ開発の現場に影響が出そうです。カナダのAIシステムサプライヤー・Connect Techは、NvidiaがJetson TX2およびXavierファミリーのEOL(製品終了)タイムラインを前倒しにしたと伝えています。背景にあるのは、LPDDR4メモリの調達難——いわゆる「RAMpocalypse」です。Tom's HardwareのZak Killian氏が2026年5月3日に報じました。なお、このニュースを最初に発見したのはCNX Softwareとされています。
Connect Techが明かしたタイムラインと対象製品
Connect Techによると、NvidiaはすべてのTX2およびXavierモデルをNCNR(Non-Cancelable, Non-Returnable=注文後のキャンセル・返品不可)ステータスに移行したとされています。ただし、このタイムラインはConnect Tech側の発表であり、Nvidia自身が直接公表したものではありません。Connect Techは「Nvidiaのタイムラインに基づく」と説明しています。
Connect Techが具体的に挙げている影響製品は以下の通りです。
- Jetson TX2 NX
- Jetson TX2i(全SKU)
- Jetson AGX Xavier 32GB Industrial
- Jetson Xavier NX(8GBおよび16GB版)
スケジュールとしては、最終発注期限が2026年7月1日、既存発注のNCNR転換が2026年7月15日、そして最終出荷が2027年7月15日とされています。
なぜ今なのか——DDR4不足の構造的な問題
TX2は2017年、Xavierは2018年に登場した製品で、一部のバリアントは2021年まで追加されています。これらはいずれもLPDDR4メモリを採用した世代です。
Tom's Hardwareは、今回の状況について、従来型の単純な供給不足ではなく、製造キャパシティの再配分の問題であると伝えています。メモリメーカーがHBMや新世代のDDR5といった高利益率の製品に製造キャパシティを集中させた結果、LPDDR4を生産するレガシーノードへの投資が縮小。DDR4系の価格が高騰し、調達そのものが困難になっているというのが実態です。
組み込み向けプラットフォームは、コンシューマー製品とは異なり長期的な供給保証を必要とします。そのため、メモリ供給が逼迫した際に最初にNCNRステータスへ追い込まれやすい立場にあります。TX2・Xavierファミリーはもともと製品寿命の終盤にさしかかっていたところに、メモリ不足が移行を加速させた形です。
一方、最新世代のJetson OrinおよびThorはLPDDR5を採用しており、価格は上昇しているものの現時点では入手可能な状態が続いています。
Orinへの移行が「選択肢」から「必須」へ
開発者・インテグレーター向けの現実的な移行先として、Tom's HardwareはJetson Orin NXを挙げています。特殊なI/O構成に依存していない場合に限り、Xavier NXからのほぼドロップイン換装が可能とされています。フォームファクターや電力レンジも同等クラスです。
AGX XavierからAGX Orinへの移行はさらに容易で、両製品が同じ699ピンコネクタファミリーを採用しているため物理的な互換性があります。ただし、電力供給と熱設計については別途検証が必要です。
Tom's Hardwareは、LPDDR4ベースのJetsonモジュールに依存した設計を続けているならば供給を確保できる窓口は閉じつつあり、Orinへの移行はもはや性能向上のためだけでなく長期的な製品存続の問題であると伝えています。
TX2・Xavier系モジュールを使ったプロジェクトを抱えている場合は、2026年7月1日の最終発注期限を念頭に置きつつ、早急に移行計画を検討することが現実的な対応といえます。
Q&A
Q. 今すぐJetson TX2・Xavierを使っているプロジェクトはどうすればいいですか? Connect Techによると、最終発注期限は2026年7月1日とされています(Connect Tech発の情報でNvidia直接の公式発表ではありません)。必要な在庫の確保を急ぎつつ、Jetson Orin NXまたはAGX Orinへの移行計画を並行して進めることが推奨されます。
Q. Jetson OrinやThorは同じ問題の影響を受けますか? 現時点では、OrinおよびThorはLPDDR5を採用しており、価格は上昇しているものの入手可能な状態が続いていると報じられています。ただし、メモリ市場全体の動向次第で状況が変わる可能性があります。