PROシリーズ初の16コアかつ初の3D V-Cache搭載という、AMDにとって新しい領域に踏み込む可能性があるCPU「Ryzen 9 PRO 9965X3D」がPassMarkのデータベースに姿を現しました。CPU Markスコアは65,111点を記録し、コンシューマー向け上位モデルとの差は約7%にとどまっています。Tom's Hardwareが報じています。
PRO初の16コア+初の3D V-Cache——何が新しいのか
Ryzen PRO 9000シリーズでは、これまでの最上位モデルがRyzen 9 PRO 9945(12コア/64MB L3)でした。もし9965X3Dが正式に登場すれば、PROシリーズ初の16コアモデルであり、かつPROシリーズ初の3D V-Cache搭載チップとなる可能性があります。これはPROラインナップにとって二重の意味で新しいマイルストーンとなります。
Ryzen PROシリーズは、Threadripperのような本格的なワークステーション向け製品ほどの性能は必要としないものの、安定性やセキュリティを重視するコンテンツクリエイターやビジネスユーザーを主なターゲットとしています。コンシューマー向けと同じシリコンをベースに、ソフトウェアレベルでの安定性・セキュリティ機能を強化しているのが特徴で、大手SIのOEMデスクトップ・モバイル製品にも採用されています。
3D V-Cacheによって大容量のL3キャッシュが利用できるようになれば、キャッシュ依存度の高いゲームやシミュレーション系ワークロードで恩恵が期待できると、Tom's Hardwareは伝えています。
PassMarkに3サンプルのみ——スコアは9950X3Dより約7%低い
PassMarkのデータベースに登録されたのはわずか3サンプルです。CPU Markテストでのスコアは65,111点で、コンシューマー向けの上位モデルであるRyzen 9 9950X3Dが記録した70,201点を約7%下回っています。シングルスレッド性能の差はより小さく、9965X3Dが4,614点、9950X3Dが4,743点と、差は**2.7%**にとどまっています。
ただし、Tom's Hardwareは「PassMarkは実際のパフォーマンスを示す指標として最適ではない」と指摘しており、これらの数値をそのまま実使用時の性能差として受け取ることには注意が必要です。スコアが低めに出ている理由として、後述するTDP制限の影響も考えられると同メディアは伝えています。
スペックの読み取りに誤りの可能性——L3キャッシュは128MBと推定
PassMarkの掲載情報では、Ryzen 9 PRO 9965X3Dのスペックとして16コア/32スレッド、L3キャッシュ32MBと記載されています。しかしTom's Hardwareは、このL3キャッシュの数値はPassMark側の読み取りミスである可能性が高いと見ています。同じ3D V-Cache世代の9950X3Dが128MBのL3キャッシュを持つことから、9965X3Dも同様に128MBを搭載していると推定されています。
TDPについても不確定な部分があります。PRO系チップは通常65W TDPに設定されることが多い一方、9950X3D相当のシリコンを使用しているとすれば170Wが基準となります。Tom's Hardwareは、既存のPROシリーズの傾向に従えば9965X3DもTDPが抑えられている可能性があり、それがPassMarkスコアの低さにつながっているとも考えられると報じています。クロック速度については現時点では確認されていません。
Tom's Hardwareは、もし9965X3Dが効率的な動作と比較的手頃な価格を実現できれば、仕事とゲームを両立したいパワーユーザーにとって魅力的な選択肢になる可能性があると伝えています。現時点では公式発表はなく、PassMarkへの掲載という非公式な形での出現にとどまっています。
Q&A
Q. Ryzen 9 PRO 9965X3DはRyzen 9 9950X3Dと何が違うのですか? PRO版はコンシューマー向けの9950X3Dと同じシリコンをベースにしつつ、安定性・セキュリティ向上のためのソフトウェア機能を追加したモデルです。TDPが抑えられている可能性があり、PassMarkスコアも約7%低い結果が出ています。ただし実使用時の差は異なる可能性があります。
Q. PassMarkのスコアはどこまで信頼できますか? Tom's Hardwareは「PassMarkは実際のパフォーマンスを示す指標として最適ではない」と明言しています。また今回は3サンプルのみの登録であり、L3キャッシュの数値も誤読の可能性が指摘されています。正式発表後のレビューで改めて確認することをおすすめします。
Q. このCPUはOEM専売になるのでしょうか? Tom's Hardwareによると、Ryzen PROシリーズは大手SIのOEMデスクトップ・モバイル製品に採用されることが多いとされています。9965X3Dについても同様の販路が想定されますが、市販の有無を含め現時点では公式情報がなく、詳細は正式発表を待つ必要があります。