あなたが買うiPhoneのチップが何かを気にしなければならない未来が来るかもしれません。AndroidではSnapdragon 8チップの製造元の違いが性能差として現れ、別ブランド販売を余儀なくされた事例があります——9to5Macは、同じことがiPhoneで起きる可能性を指摘しています。
Appleが将来のデバイス向けプロセッサの製造について、IntelおよびSamsungと協議を進めていると、Bloombergが報じています。長年にわたりA-seriesおよびM-seriesチップの唯一のサプライヤーであるTSMCへの依存を減らすことが目的とされています。9to5Macはこの報道を受け、3つの視点から分析を加えています。
TSMC一極依存が続いた理由と、今Appleが動く背景
Appleはもともと、主要部品のサプライヤーを複数確保することで価格交渉力を高め、サプライチェーンの混乱に備えるという方針を長く維持してきました。かつてはA-seriesチップの製造をTSMCとSamsungで分担し、MacのCPUにはIntelの既製品を採用していた時期もあります。
しかし、TSMCが技術力で大きく先行したことで、フラッグシップiPhoneに必要な最先端チップを製造できるのはTSMCのみとなりました。M-seriesへの移行後も同様で、現在はTSMCへの一極依存が続いています。
台湾有事のリスクも無視できない要因です。2024年には、TSMCとチップ製造装置メーカーのASMLが、台湾への侵攻が発生した場合に製造機器を遠隔で無効化する計画を共同で策定していたと報じられています。 Appleにとって、こうした最悪のシナリオに備えた「プランB」を持つことは不可欠と見られています。
IntelとSamsungへの過度な期待は禁物——技術格差の現実
9to5Macは、IntelとSamsungがTSMCに追いつける保証はまったくないと指摘しています。両社が技術を進歩させるたびにTSMCも前進するため、TSMCが先頭を走り続ける可能性は十分にあると見られています。
現時点で最も現実的なシナリオとして考えられるのは、IntelとSamsungが製造できるのは旧世代デバイス向けの「より大きなプロセスノードのチップ」——すなわち性能・電力効率で最新世代に劣るチップ——にとどまるとの見方もあります。これはTSMCがアリゾナ州の工場に導入した旧世代の製造設備に近い位置づけとなります。Appleにとって一定の意義はあるものの、最新デバイスについてはTSMCへの依存が続くことになります。
では仮に技術格差が縮まった場合、ユーザーには何が起きるのでしょうか。
複数サプライヤー化が招く品質差リスク——ユーザーへの影響
9to5Macが「懸念すべき可能性」として挙げているのが、複数のサプライヤーが同一チップを製造した場合に生じうる品質差の問題です。これは購入者にとって直接、「手元に届く端末の体験が変わる」可能性を意味します。
過去には、AppleデバイスのディスプレイをSamsungとLGが共同供給していた際に品質差が報告された事例があります。2021年にはLGがLCD iPhoneスクリーンのサプライヤーから外れています。
チップの世界でも同様の事例があります。9to5Macによると、AndroidスマートフォンにおけるSnapdragon 8チップは、SamsungとTSMCの両社が製造していましたが、その性能差があまりにも大きかったため、TSMC製のものは「Snapdragon 8 Plus」として別ブランドで販売されるほどだったと報じられています。
仮にIntelやSamsungがTSMCに追いついた場合でも、同一スペックとして販売されるiPhoneやMacのチップが製造元によって異なる可能性が生じます。最悪のケースでは、購入者が「自分が買う端末のチップがTSMC製かどうか」を気にしなければならない状況になりかねないと、9to5Macは警鐘を鳴らしています。
現時点ではあくまで協議段階と報じられており、IntelやSamsungが実際にAppleの最先端チップを製造できるかどうかは確認されていません。
Q&A
Q. AppleはなぜTSMC一社への依存を問題視しているのですか? 9to5Macによると、Appleは常に主要部品について少なくとも2社の競合サプライヤーを確保することで最良の価格交渉を行い、サプライチェーンの混乱に備えるという方針を持ってきたとされています。加えて、台湾が中国からの脅威にさらされ続ける中、TSMCが中国の支配下に置かれたり、工場が破壊・妨害されたりするリスクも要因として挙げられています。
Q. IntelやSamsungがAppleの最先端チップを製造できる可能性はありますか? 9to5Macによると、現時点ではIntelとSamsungがTSMCに追いつけるかどうかは明確ではないとされています。旧世代デバイス向けの製造を担う可能性はあるものの、最新フラッグシップ向けチップについてはTSMCへの依存が続く可能性が高いとの見方もあります。
Q. 同じ製品でも製造元によってチップが違う可能性はありますか? 製造元によるチップの品質差が生じる可能性があります。9to5Macによると、AndroidのSnapdragon 8チップではSamsungとTSMC製の間に大きな性能差が確認され、TSMC製が別ブランドで販売された事例があると報じられています。同一製品名でも製造元によって体験が異なるリスクが懸念されています。