「折りたためるiPhone」ではなく「電話のかけられるiPad」——。Appleの初フォルダブル端末と噂される「iPhone Ultra」のダミー機ハンズオン動画から浮かび上がってきたのは、そんな大胆なコンセプトです。短く幅広い独特の「パスポート形状」と、内側ディスプレイの4:3アスペクト比という2つの手がかりから、SamsungやGoogleとは根本的に異なるAppleのアプローチが見えてきました。
YouTuberが公開したダミー機の「パスポート形状」
YouTuberのUnboxed Therapy(ホスト:Lewis Hilsenteger氏)が、iPhone Ultraのダミー機を取り上げる動画を公開しました。ダミー機は非公式ながら、製造業者がアクセサリーメーカーなどの取引先に共有する寸法情報をもとに作られることが多く、最終製品とほぼ同じ形状であるケースが大半です。ただし出典元のTech Advisorも「断言はできない」としており、最終製品との差異が残る可能性は残ります。
動画内でHilsenteger氏は、閉じた状態でのiPhone Ultraの感触を「奇妙だ」と表現しています。その理由は、他のフォルダブル機や一般的なスマートフォンと比べて明らかに短く、幅広い「パスポート形状」にあると説明しています。
なぜAppleは「ずんぐりした形」を選んだのか
Tech Advisorに寄稿したJon Mundy氏は、この一見奇妙な形状はバグではなく「機能」だと指摘しています。つまり、Samsung・Google・Honorといった他社が「広がるスマートフォン」を作ろうとしているのに対し、Appleは「電話機能を備えたポータブルタブレット」を作ろうとしているのではないか、という見方です。
ここで前提として押さえておきたいのが、現状のフォルダブルが抱える課題です。Mundy氏は、折りたたみスマホを長期間使うと、結局は通常のスマートフォンとして使う時間が大半を占めがちだと述べています。Mundy氏自身、Samsung Galaxy Z Fold 7やGoogle Pixel 10 Pro Foldを使う際、内側の大画面を開くのはソファでの長時間のWebブラウジングや特定のゲームに限られると述べています。なかでも『Slay the Spire』をプレイするのには最適で、「次のスマホに£1,800(約34万円)を投じる理由としてほぼ十分」とユーモア混じりに評しているほどです。
裏を返せば、「ほぼ普通のスマホとして使うのに巨費を投じる構図」が現状フォルダブルの限界とも言えます。Appleはこの構図を反転させ、「開いた状態こそデフォルト」と感じさせる端末を狙っているのではないか、というのがMundy氏の見立てです。
鍵は内側ディスプレイの「4:3アスペクト比」
iPhone Ultraの最大のポイントは、内側ディスプレイのアスペクト比です。展開時の画面は、iPadシリーズと同じ4:3アスペクト比になる可能性が高いと見られています。
これが何を意味するかというと、以下のような利点が考えられます。
- 既存のiPadOS向け最適化アプリがそのまま自然に収まる
- 動画コンテンツやゲームが、現行フォルダブル機の正方形に近い画面より自然に表示される(ただし黒帯は残るとされています)
- iPad miniよりもさらに携帯性の高い「タブレットUI」が実現する
Appleはタブレット市場でiPadOSという完成度の高いUIと、タブレット最適化アプリの豊富なエコシステムを築いてきました。iPhone Ultraは、そのタブレット体験をこれまでにないほど携帯性の高い形で持ち運べる端末になり得る、というのがMundy氏の主張です。
Galaxy Z Fold 8 Wideとの対抗構図
Samsungも「Galaxy Z Fold 8 Wide」で同様のアプローチを試みると見られていますが、Mundy氏はこれがiPhone Ultraに先回りした対抗策である可能性を指摘しています。
ただし、Samsungは自社タブレットで4:3アスペクト比を採用していないため、スマートフォンとタブレットの間でスムーズな体験の移行を提供しづらいとされています。さらに、Android OS自体がタブレットフォーマット向けに十分最適化されておらず、タブレット向けに適切に調整されたアプリのライブラリでもiPadOSに及ばないとの見方です。
スマホ寄りか、タブレット寄りか — あなたはどちら?
iPhone Ultraは「折りたためるスマホ」を期待していたユーザーには違和感のある形状かもしれません。一方で、「iPadをもっと持ち運びやすくしたい」と考えていた層には、これまでにない選択肢となる可能性があります。
現時点ではダミー機ベースの情報であり、最終製品のスペックや価格は確認されていません。購入を検討するユーザーは、自分の利用スタイルが「スマホ寄り」か「タブレット寄り」かを見極めた上で、続報を待つのが妥当でしょう。
iPhone Ultraのスペック・価格・発売時期で見えてきた輪郭
ダミー機の形状以外にも、サプライチェーン由来の周辺情報からiPhone Ultraの具体像が固まってきています。複数の情報源が、Appleの初フォルダブルiPhoneは2026年9月にiPhone 18ラインの一部として登場すると見ています。
主要リーク値の整理
| 項目 | リーク値 |
|---|---|
| 内側ディスプレイ | 7.76インチ/2,713×1,920 |
| 外側ディスプレイ | 5.49インチ/2,088×1,422、4:3 |
| 折りたたみ厚 | 約9.23mm(従来噂の9.6mmより薄い) |
| カメラ/バッテリー | 48MP×2のリア、5,000〜5,500mAh、望遠なし |
| 価格 | Ming-Chi Kuoは2,000〜2,500ドルと予測 |
加えて折り目については「コストを問わず」追求した新素材により、開いた状態ではほぼ見えないレベルまで抑え込まれたと報じられています。これらの数値は、本記事が論じる「電話できるiPad」コンセプトを裏付けるハードウェア面の根拠になり得るものです。
Samsung Galaxy Z Fold 8 Wideの具体像と先行ライバル
元記事で触れられた対抗機Galaxy Z Fold 8 Wideについても、ここ数週間で具体的なスペックと発売時期が明らかになってきました。
- 発表時期:標準のFold 8およびFlip 8と共に2026年7月のUnpackedで発表予定
- ディスプレイ:カバー5.4インチ、内側7.6インチで開くと4:3アスペクト比
- 筐体寸法:折りたたみ時123.9×82.2mmと、標準Fold 8の158.4×72.8mmより短く幅広い
- SoCとカメラ:Snapdragon 8 Elite Gen 5、200MPメイン+50MP超広角の2眼構成
- 想定価格:米国で約1,800ドル、Fold 8よりカメラ・バッテリーを抑えた構成を反映
なおHuaweiは両社に先行して中国でPura X Maxを投入済みですが、中国国外への展開は見込まれていません。実質的にiPhone Ultraと世界市場で正面から競合するのはGalaxy Z Fold 8 Wideになる見通しです。
Q&A
Q. iPhone Ultraのダミー機情報はどこまで信頼できますか? ダミー機は製造業者がアクセサリーメーカーに提供する寸法情報をもとに作られることが多く、最終製品とほぼ同じ形状になる傾向があります。ただし出典元のTech Advisorも「断言はできない」としており、確定情報ではありません。
Q. iPhone Ultraと既存の折りたたみスマホの最大の違いは何ですか? 内側ディスプレイのアスペクト比が、iPadと同じ4:3になる可能性が高いとされている点です。これにより、既存のiPadOS最適化アプリがそのまま使えるとの見方が示されています。一般的な折りたたみスマホは正方形に近い画面比率を採用しており、動画やゲームの表示には不向きな場合があります。
Q. 価格や日本での発売時期は明らかになっていますか? 今回のダミー機ベースの情報では、価格や発売時期について公式な情報は公表されていません。出典元のTech Advisorは別途「iPhone Ultraについて現時点でわかっていることのまとめ」記事を案内しており、続報はそちらでフォローするのが妥当でしょう。